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北に暮らす

「知っているつもり」じゃもったいない!
阿寒摩周国立公園をディープに楽しむ見どころをご紹介!

posted:2022年6月10日
from:釧路市・弟子屈町
genre:見る・遊ぶ
[この記事の概要]
ひがし北海道の中央部にある「阿寒摩周国立公園」は道内で初めて登録された国立公園です。今回は、阿寒摩周国立公園のちょっとディープな見どころをご紹介します!自然体験はもちろんのこと、そこに暮らす人たちとの出会いこそ旅の魅力です。
冬の釧路川・カナディアンカヌーに乗る様子
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dotdoto
.DoTo
一般社団法人ドット道東
ライター:百目木(どめき)幸枝
点がつながる。道東のあたらしい輪郭になる。北海道のひがし側、道東(十勝、オホーツク、釧路、根室)を拠点に活動するクリエイターによって一般社団法人ドット道東は、2019年に創業しました。道東内外に点在するパートナーと共にプロジェクトに応じてチームを編成しクリエイターはもちろんのこと、ステークホルダーとなるDOTO-NETの企業や自治体とも協業し、企画プロデュース、地域ブランディング、情報発信、求人メディア運営、ローカルデーターベースを用いた地域の課題解決をおこないます。
 ひがし北海道の中央部にある「阿寒摩周国立公園」。実は道内で初めて、国内でも4番目に登録された歴史ある国立公園であることをご存知でしょうか?1市10町にまたがる約9100haという広大な面積は、山手線※がすっぽりと収まってしまうほど。道内でも有名な観光地なだけに「阿寒って、温泉と、まりもと、アイヌコタンがあるところでしょ?」とついつい知ったつもりになりがちです。
 今回は、阿寒摩周国立公園のちょっとディープな見どころをご紹介します!自然体験はもちろんのこと、そこに暮らす人たちとの出会いこそ旅の魅力です。知れば知るほど行ってみたくなりますよ!
※山手線内の面積は約6300ha

1、この風景は今しか見れない!?美しいカルデラ湖の秘密!

阿寒摩周国立公園の特徴の1つは、屈斜路湖、摩周湖、阿寒湖という3つのカルデラ湖が隣接した全国的にも珍しい地形です。一見、静かな湖畔風景ですが、実はこの地形は活発な火山活動によってできるため、かつてこの公園一帯が、激しい火山地帯であったことを物語っています。
例えば、公園の南西部の「阿寒湖エリア」は、数十万年前から激しい火山活動が連続して起こった結果、古阿寒湖と呼ばれる巨大なカルデラ湖に覆われていたと考えられています。
(photo by 崎 一馬)

阿寒湖畔展望台から見下ろした阿寒湖と雄阿寒岳の様子

小学校の社会で習ったカルデラ地形は円形や楕円形のイメージがありますが、現在の阿寒湖は「と」のような変わった形です。それは、古阿寒湖の中に山ができたり、噴火の影響で湖の形が変わり続けたからなんです!

公園の北東部の「摩周エリア」では、約3万年前に、日本一大きなカルデラ湖である屈斜路湖が、約3000年前に摩周湖が作られました。約1000年前に火山活動は沈静化したと考えられていますが、公園内の温泉街は、今なお続く火山活動のエネルギーを感じられるスポットなのです。
(photo by 國分 知貴)

阿寒湖・阿寒富士から見た雌阿寒岳の様子

公園内の深い森と静かな湖は、多くの生き物の命のゆりかごとなっていますが、この美しい風景は、地球の長い歴史からしたらほんの一瞬の姿なんですね。今しか立ち会えない奇跡の時間です。

2、「人が暮らせる国立公園」って実は当たり前じゃないんです!

日本の国立公園では、人が暮らしています。当たり前のことのように思えますが、世界を見るとアメリカやカナダのように、厳正な自然保護を行なうために国立公園の土地を国が管理し、開発を規制している国もあります。日本の場合は、昔から人が住んできたエリアを含む一帯を、国が国立公園に指定したという経緯があるため、国立公園の自然の中で、人々が暮らすことができるのです。
(photo by 崎 一馬)

弟子屈・川湯温泉の温泉川の清掃活動の様子

川湯地域運営協会が行う温泉川の清掃活動の様子。自然環境の保全をしつつも、住民の生活を守り、適正な範囲内で利用を促進する取り組みが進められてきました。
(photo by 中道 智大)

弟子屈・川湯温泉街で働く女性の写真

ちょっと立ち寄ったお店さんのお母さんから、風土にまつわるお話を聞くことができるかもしれません。

3、人との出会いを楽しめるスポット<阿寒エリア>

現在、阿寒摩周国立公園には、先祖の代からこの地で暮らし続ける人たちや、自然を求めて移住してきた人たちなど様々な人々が暮らしています。豊かな自然を体感するだけではなく、そこに暮らしてきた人たちとの出会いもまた、この旅の醍醐味です。ここからは、それぞれのエリアで人との出会いを楽しめるスポットをご紹介します。

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■一歩園森の案内人
温泉やまりものイメージがある阿寒ですが、今回注目するのは「森」です。この森には、語り継がれる物語があります。
(photo by 中道 智大)

阿寒湖・前田一歩園財団「光の森」、紅葉で色づく森の様子

実は、道内でも類を見ないほど豊かな植生があることで阿寒の森は有名です。
明治時代、この一帯を前田正名さんという方が所有していました。前田さんは地域に産業を作るために、阿寒一帯の土地を手に入れ、前田一歩園と名付けました。森林を伐採しながら、牧場経営や、林業経営を開始しましたが、あまりの風景の美しさに「この山は切る山から観る山にすべきである」と語ったと伝えられています。その後、一歩園により牧場跡地の植林や天然林の再生など、阿寒の森を原生の風景に戻す「復元の森づくり」が始まり、長い年月をかけて少しずつ豊かな植生を取り戻していきました。
現在、一般の方は森に許可無く立ち入ることは出来ませんが、「一歩園森の案内人」と一緒であれば散策が可能です。
(photo by 中道 智大)

一歩園森の案内人である女性の写真

ニュー阿寒ホテルで働く佐藤圭子さんも森の案内人のひとり。1997年に札幌から阿寒へ転勤した当初はインドア派だったのですが、先輩や友人の影響で徐々にアウトドアに目覚めました。「自分を変えた阿寒の自然を守り、魅力を伝えたい」という思いで森の案内人になった佐藤さん。趣味はカメラで、SNSには佐藤さんが撮影した阿寒の美しい自然の様子がアップされています。ぜひ御覧ください。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

■アイヌコタン
阿寒といえばアイヌコタンが有名ですが、先述の正名さんの息子の奥様である前田光子さんが、前田家の土地の一部をアイヌの人たちに提供したのが始まりです。それまで商店街に木彫師として点在して暮らしていたアイヌの人たちが集まり、自分たちのお店を構えたことで現在の「アイヌコタン」が生まれました。和人とアイヌの人たちが協力して、観光地としての阿寒湖を作ってきたという歴史をもつ地区なのです。
(photo by 中西 拓郎)

阿寒湖・アイヌコタン「デボの店」店主の秋辺デボさんの写真

アイヌコタンでぜひ訪れたいのが「デボの店」です。アイヌコタンで生まれ育ち、クリエイターとして新しいアイヌ文化の表現を模索してきた秋辺デボさんにお会いすることができます。デボさんがプロデュースを手掛ける「阿寒湖アイヌシアター<イコロ※>」で公開中の「ロストカムイ」は、プロジェクションマッピングなど先端的な技術と伝統的なアイヌ文化が融合する圧巻の舞台ですよ。
※ロは小文字

4、人との出会いを楽しめるスポット<摩周エリア>

摩周エリアは、川湯温泉や硫黄山、摩周湖や屈斜路湖といったここにしかない景観に溢れています。観光スポットが並ぶだけに、ついついドライブで通り抜けてしまいがちですが、実はこの風景の中にこそ、ディープな楽しみ方が広がっています。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

■SOMOKUYA
屈斜路湖に来たからには、展望台から景色を眺めるだけではなくて、実際に湖で遊んでみませんか?屈斜路湖畔には、弟子屈の自然に心惹かれて移住したガイドの方も多く、夏はカヌーやSUPで屈斜路湖を巡ったり、冬はスノーシューで屈斜路湖を囲む外輪山を散策したり、とっておきの風景を楽しむことができますよ!
(photo by 國分 知貴)

屈斜路湖のカヌーガイド・SOMOKUYAのご夫婦の写真

屈斜路湖畔に拠点を構えるアウトドアガイドのお店 SOMOKUYAを経営する土田祐也さんもその1人。小樽出身の祐也さんと埼玉出身の奥様が弟子屈で出会い、三角屋根がかわいいログハウスでガイド業と暮らしに寄り添う雑貨屋さんを営んでいます。

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■菓子司風月堂
美肌の湯としても有名な川湯温泉。温泉街の中ほどにあるのが、老舗和洋菓子屋さんの「菓子司風月堂」。1973年に創業し、店頭には、「シロツヅジ」や「ポンポンヤマ」など川湯の自然をモチーフにしたお菓子などが常時50種類以上並んでいます。中でも地元の農家さんから直接原料を調達し、パッケージまで手作りにこだわった地産地消のオリジナルお菓子がおすすめです。
(photo by 中道 智大)

弟子屈・川湯温泉街の菓子司風月堂を営むご夫妻の写真

風月堂の菓子職人のお父さんは川湯育ち、販売を担当するお母さんも、川湯温泉や弟子屈町で町おこしや若者の応援など様々な活動をしています。「硫黄山に火の玉が出るって噂があったんだよ〜」なんて、弟子屈・川湯地域の面白いお話を聞くことができるかもしれませんよ。

5、阿寒摩周国立公園のさらなる進化は止まらない

2016年から阿寒摩周国立公園では、国と民間が一緒に新しいまちづくりを目指す取り組みを行っています。ここにしかない美しい自然環境を保護しながら、持続可能な観光・地域のあり方を模索するこの活動は、「自然を活かしたまちづくり」として全国からも注目を集めています。

弟子屈・川湯温泉街の冬の温泉川の様子

川湯温泉の温泉川の清掃やライトアップもその1つです。川湯地域運営協会の副会長である宮崎健一さんと金子貴志さんは、「誇れる温泉街にしたい」との思いから、景観づくりに力を入れています。地域住民と環境省の人たちが集まり、汚れた温泉川を清掃、遊歩道の整備、ライトアップを行いました。川が生まれ変わったことで、温泉街に活気が溢れるようになりました。

大地のエネルギーと、地域を盛り上げようとする人たちのエネルギーが融合し、ますます熱いスポットとなる「阿寒摩周国立公園」。日々ニュースにあふれています。知っているつもりじゃもったいない!ぜひ阿寒摩周国立公園に遊びに来てくださいね!

6、ご紹介

阿寒摩周国立公園で暮らす人々の思いや挑戦をまとめた「自然の郷ものがたり」を以下からご覧いただけます。人との出会いこそが旅の醍醐味。どんな思いをもった方がこの地域にいるのか、ぜひ一度読んでみてくださいね。

#自然の郷ものがたり|ドット道東|note

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